【Android】Huaweiの次世代無線技術「NearLink」とは?
2023年9月にHuawei(ファーウェイ)が新製品発表イベントを開催し、
そのイベントで独自開発した近距離無線通信技術「星閃(NearLink)」を発表しました。
NearLinkは、Huaweiの独自開発の新世代OS「鴻蒙OS(HarmonyOS)」のエコシステムに導入されることになりました。
NearLinkはHuawei製品だけに限らず、
今後は様々な中国製品に搭載されていくことになるでしょう。
日本で利用可能になるかは現時点では不明ですが、
魅力的な最新技術であることは間違いありません。
そこで今回は、NearLinkについて現時点で判明している情報をまとめてみました。
この記事に書いてること♪
NearLinkとは
NearLinkとは、Huaweiが発表した最新の近距離無線通信技術です。
BluetoothとWi-Fiの特性を併せ持ち、遅延・消費電力・セキュリティなどが
Bluetoothと比較して強化されています。
NearLinkは3層構成
NearLinkには「物理層」、「データリンク層」、「ネットワーク層」の3層で構成されています。
- 物理層:高周波信号の送受信を担当するNearLinkの中核層。
- データリンク層:データの圧縮・解凍・検査・エラー修正などを行う層。
- ネットワーク層:データを送信先のアドレスに届けるための通路を担う層。
SLB(高速モード)とSLE(省エネモード)
NearLinkには「SparkLink Basic(SLB)」と「SparkLink Low Energy(SLE)」の
2つの動作モードが用意されています。
SparkLink Basic(SLB):ビデオなどの大容量データを高速に転送する際に使用するモード。
※Wi-Fiのような使い方
SparkLink Low Energy(SLE):イヤホン、マウス、リモコンなどの省電力を求められる製品で使用するモード。
※Bluetoothのような使い方
Bluetoothからの進化点
NearLinkは、Bluetoothと比較すると
様々な点で進化しているとHuaweiは主張しています。
以下、Huaweiの発表会で発表された内容です。
Huaweiが主張しているものであり、実際に検証した結果ではないのでご注意ください。
【転送速度】
NearLinkのデータ転送速度は、Bluetoothよりも高速です。 NearLinkのデータ転送速度は307.2Mbpsに達し、 それはBluetooth4.2の12倍、最新のBluetooth5.0の3倍です。
【遅延】 NearLinkはBluetoothのように遅延に悩まされることはありません。 ビデオ通話、ゲームプレイなどリアルタイムの体験が重要なアプリケーションを ストレスフリーで利用することができます。
【通信距離】 NearLinkの通信距離は約40mです。 ※Bluetoothは10~100m(クラスによる) Bluetoothの長距離接続とは異なり、近距離での高速かつ大容量のデータ送信に適します。 |
NearLinkはデータ転送速度、遅延において
Bluetoothに圧倒的に勝っていることを強調していますね。
しかし、通信距離は約40mとBluetoothと比較しても短くなっています。
これは、NearLinkの名の通り「近距離通信」に特化しているためでしょう。
最新のBluetooth機器も100mも離れた場所から使う機会はあまりないでしょうし、
通信距離が40mでも全く問題は無いでしょう。
NearLink搭載機器
NearLinkはHuaweiが開発したので、Huawei製品から搭載機器が増えていくでしょう。
Huawei MatePad Pro 13.2(タブレット)
先述の新商品発表会では、NearLink対応製品の第1弾として
新型Androidタブレット「Huawei MatePad Pro 13.2」が発表されました。
HuaweiはまずはタブレットにNearLinkを搭載して様子を見るようですね。
タブレット本体と付属のタッチペンの通信にNearLinkを利用します。
来年発売のHuawei製の新型スマホにはNearLinkが搭載されるでしょう。
ThundeRobot ML903 NearLink(マウス)
NearLinkはゲーミングデバイス関連でも注目されています。
「ThundeRobot ML903 NearLink」は、世界初のNearLink搭載ゲーミングマウスです。
NearLinkの低遅延、省電力を活かした製品となるでしょう。
懸念点
NearLinkはとても魅力的な新技術ですが、懸念点もいくつかあります。
それらの問題が解決されるまでは、国内での本格的な普及は難しいかもしれません。
対応機器が少ない
NearLinkは中国の通信企業最大手Huaweiの「独自技術」です。
そのため中国以外での対応機器の開発が進んでおらず、
スマホやタブレットが対応しても操作できる機器が無い状態です。
世界中で圧倒的なシェアを誇るBluetoothからの乗り換えが進むかも不明です。
技適問題
アメリカはHuaweiに対する規制を強化しており、日本も少なからずその影響を受けています。
Huaweiの無線技術であるNearLinkをアメリカがすんなりと承認するとは思えませんし、
アメリカの同盟国である日本でもNearLinkの技適が承認される可能性は低いかもしれません。
まとめ
「NearLink」はHuaweiが独自開発した最新の近距離通信技術です。
Bluetoothよりも低遅延・省電力であると発表されており、世界中で期待が高まっています。
今後、中国国内ではスマホ、タブレット、マウスなど様々な製品にNearLinkが搭載される予定です。
しかし、アメリカのHuawei規制など普及までの懸念点も多い技術でもあります。
既にBluetoothが世界中であまりにも普及してしまっていますし、
NearLink対応機器を製造する際のコストがどれだけかかるかも不明です。
果たして、日本国内でNearLink対応機器が普及することはあるのでしょうか。
今後のHuaweiの動向に要注目です。
日本国内のHuawei製品の最新情報は
Huaweiの公式X(旧Twitter)をご確認ください。
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